09-10-04 灰色の世界

半径200mの円形のお盆に水を張って、濃いグレーの絵の具をその水に溶かします。そして、その南側を10秒間隔で1.5m持ち上げると同時に反対の北側の縁をトントンと水平に叩きながら、ジョウロで雨を降らして下さい。トントン叩く縁の方から強力な扇風機で風を送るのをお忘れなく！

今日は東京夢の島マリーナの毎年恒例マリンフェスティバルに参加協力するため、保田から東京夢の島マリーナに「Bambino」を回航します。

1000出港予定でしたが、ちょうど雨が強くなり視程数百メートル、携帯で雨雲の状況をみると１時間以内に通り過ぎるようです。

当初の予定では横浜ベイサイドマリーナに立ち寄り給油ついでにノースセールで修理に出していたジブを受け取る予定でしたが、ノースセールさん本日休みと分かったので神奈川寄りのコースを通る必要性がなくなりました。

雨雲の状況を再度確認すると、もう一つ強い雲が過ぎれば問題なさそうですがこれを待っていては出港が1300過ぎになってしまい、折角の大潮の上げ潮を有効に利用できなくなってしまいそうです。

また、横浜ベイサイドマリーナに寄る必要がなくなったので最短距離の千葉寄りコースにルートを変更、東京夢の島マリーナ到着時に満潮の潮止まりとなる時間を逆算し、1140保田漁港を出港しました(本船航路を横断する必要がないのでこれから来るであろう雨で視程が悪くなったとしても安全)。

金谷沖の定置網をかわすためにC340(自艇のコンパス針路340°：自差を含むので参考にしないで下さい)で沖だししていると、定置網沖で保田に入港するらしきヨットと行き会い、手を振り合ってご挨拶、お互いよくやりまんなぁの世界です。

その後、見えない浦賀水道航路２番ブイを視認すべく針路をC010にして北上、この時点では視程２nm程度あったのですが、東京湾フェリーの航路を過ぎる辺りから例の雲がやって来たらしく、風はN10m/sec、風浪5mピッチで波高0.5m、南からは10秒間隔で1.5mのうねりという海況の中、冒頭のような状況が40分続きました。

オイルスキンから出ている頬が痛くなるほどの雨を叩きつけられ、ほぼ視界を奪われた中、コンパスを頼りに２番ブイを目指すことになってしまいました(ハンディーGPSはボタンが言う事を聞かず、半径１nm以内しか表示されないので目標物を1nm以内の精度で捉える必要があるのですが・・・)。

風や潮による影響、コンパス自差等を加味し北上を続けると、GPS上ほぼ正面に２番ブイが出現、当然視認はできないのでしばらくGPSを頼りに北上、ようやく11時半の方向数百メートルにブイを視認しホッとしたのも束の間、今度は雷が鳴り始めてしまいました。

滅多にマストに落ちることは無いのですが、こればかりは運次第、万が一落ちればバックステーやブームから1m以内は危険なため、コックピット内に身を屈めざるを得なくなりました(交代要員がいれば仮に落雷で失神しても艇は何とかなりますが、シングルの場合は致命的、しかも現在浦賀水道航路東側100mを並走中)。

当然コンパスを見ることができないので、風浪の当たる角度を頼りに針路を維持、10分間に５発(内１発はほぼ真上)の雷をやり過ごした頃、ようやく雨も弱まってきてくれました。

同時に視程が1nm程度に回復、暫くすると左前方５°方向に４番ブイを視認、その後はそれ以上視程が落ちる事もなかったので、ブイ、立標、陸標等を視認しながら、上げ潮に乗って５時間ジャストの1640、東京夢の島マリーナに無事着岸することができました。

それでも天候の回復は予報より遅く、湾岸荒川橋をくぐる直前まで断続的に8m/sec前後の向かい風と雨に祟られた回航でした。

おまけと言っては何ですが、冒頭のお盆の上をグラデーションをつけたグレーの天幕で覆って下さい。そしてその継ぎ目から覗きこまれているところを想像してみて下さい。
だって、潮の流れで川のチャラ瀬のように沸き立つ第二海堡の脇を通過する瞬間(対地9.5knオーバー)や、マリーナに今まさに着岸しようとしている瞬間に電話がかかってくるんですから！(まっ、これは不思議なくらい何時ものことなんですが・・・)

あっ、そうそう、スナック「バンビーノ」はどうなったかというと、明日の僚艇「みずなぎ」のY田さん１名ご来店で、フェスティバルの花火と中秋の名月を肴にして楽しいひと時を過ごし2330閉店となりました。